知れば、知るほど、好きになる「舞台メイク」「雅楽の管楽器、吹物」
演劇の小箱
舞台メイク
舞台メイク。それは通常のメイクとは違い、美しくなるためだけにするのではありません。役柄にあわせ、場合によっては醜くなるために化粧をするのです。美醜だけでなく、若さや老い、逞しさや虚弱さ、さらには誠実さや腹黒さといった性格までも表現します。舞台メイクによってキャラクターがしっかりと設定され、役者の演技を後押しする。そんな効果も大きいのです。反対に、メイクの出来が悪ければ、どんな名演技も魅力半減、台無しです。メイクでキャラクターの幾ばくかが決まってしまうこともあり、メイクアップ・アーティストと演出家との事前の打ち合わせは必須です。
しかし、舞台公演にプロのメイクアップ・アーティストが入るようになったのはこの30数年のこと。バレエや演劇はまだほとんどがセルフ・メイクです。
以前は演劇、バレエ、オペラなど、海外の作品が多いことから、西洋人ぽく見せるために、鼻は高く(ノーズシャドウ)、目は大きく(ブルーのアイシャドウなど)といったメイクでしたが、最近はより自然なメイクが主流となりました。
それでも、皺や傷の表現、さらには付け眉や付け鼻など、舞台メイクだからこその大胆な表現があります。それらがより発展し、ラテックス(特殊ゴム素材)やシリコンなどで作られたパーツを顔や体に貼り付ける特殊メイクが生まれました。
協力:星野安子 (メイクアップ・アーティスト)
Photo
東京バレエ団 ドン・キホーテ公演より ガマーシユ
楽器ミュージアム
雅楽の管楽器、吹物(ふきもの)
平安時代の宮廷音楽に由来し、現存する世界最古の合奏音楽といわれる雅楽。その演奏の中心は3種の「吹物(管楽器)」です。
「篳篥(ひちりき)」は、この中で最も小さいのですが音は最も大きく、主旋律を担います。音域は1オクターヴほどと狭く表裏にある指穴を開閉して音高を変えますが、吹き方だけで音高を微妙に変化させる「塩梅(えんばい)」という奏法を用いて旋律に豊かな表情をつくり出します。
横笛(おうてき)の龍笛(りゅうてき)は、2オクターヴと広い音域で細やかな旋律を吹き、主旋律を彩ります。
鳳凰(ほうおう)の姿を模したといわれる笙(しょう)は、匏(ほう)というお椀に17本の細長い管を差し込んだ楽器です。匏の横にある口から息を入れ5、6本の管から同時に音を鳴らして和音(合竹)を響かせ、旋律を支えます。
笙の音は鳳凰が住む「天」からの声とされ、篳篥は人の住む「地」の声、龍笛は「天」と「地」を行き交う「龍」の声を表わすとされてきました。吹物の響きには、壮大な宇宙(コスモロジー)が託されているのです。
篳篥:18cm程の竹管に葦をつぶした6cm程の舌(リード)を差し込んで吹きます
龍笛:長さは40cm程の竹製で、七つの指穴があります
笙:直径7cm、高さ50cm程。竹管の根元には金属製の舌が付いています
東京楽所(とうきょうがくそ)による雅楽の上演
舞楽 納曽利より
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