塩田千春展「鍵のかかった部屋」 × 音楽プログラム
KAAT神奈川芸術劇場
身体全体で体感する時間と空間の輝き
塩田千春にとって初めての大規模個展は2007年、神奈川県民ホールギャラリーで開催された「沈黙から」。ここで発表された作品、焼けたピアノと椅子を黒い糸で編みこむ《沈黙から》、ベルリンで作家が集めた約1000枚の窓を組み上げた《光から》(2007)を含め、彼女はドレス、ベッド、靴や旅行鞄など、人が日常生活のなかで使用した痕跡と記憶を内包するマテリアルを作品に用いてきた。彼女が空間を構成し尽くし完成させた作品はどれも、言葉や文化的・歴史的背景、政治・社会状況の違いを越えて、世界各国の鑑賞者に感動を与え、日本、欧米、中東、オセアニア、そしてアジア諸国など、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館(2015)の展示を含めて、これまで約200の展覧会で紹介された。
KAAT神奈川芸術劇場)
塩田が多く用いるインスタレーションという手法は、構成された展示空間を、鑑賞者が身体全体で体感することのできる作品であるが、その表現が持つ強みを、塩田千春は「瞬間の哲学」と呼ぶ。今回、KAAT神奈川芸術劇場のスタジオに展示される《鍵のかかった部屋》(2016)は、大量の赤い糸、ヴェネチアでの展示の際に使用した鍵、そして五つの古い扉を組み合わせるインスタレーションである。
作品のなかで展開される一柳慧芸術総監督、白井晃芸術監督のプロデュースによる音楽プログラム2公演は、それぞれ時間と空間において輝きを放ちながら刺激的な体感をわれわれに与えてくれるだろう。
文:中野仁詞
(キュレーター 神奈川芸術文化財団/KAAT神奈川芸術劇場)
2016年9月14日(水)~10月10日(月・祝)
KAAT神奈川芸術劇場 〈中スタジオ〉
会期中無休/展示時間 10:00~18:00(入場は閉場の30分前まで)
一般900円 学生・65歳以上500円 高校生以下無料 (ほか団体割引等あり)
※チケットかながわでの取り扱いなし
音楽プログラム
●「2台のコントラバスと古い扉とアコーディオンと無数の鍵による組曲」
2016年10月8日(土) 19:00
*白井 晃が塩田千春作品にあわせてセレクトした「mama!milk」による公演
音楽:mama!milk
演奏:清水恒輔、守屋拓之(コントラバス)、生駒祐子(アコーディオン)
全席自由 前売3500円 当日4000円
●一柳 慧プロデュース「Music with and without the key」
10月9日(日) 19:00 / 20:30
曲目:一柳 慧:弦楽四重奏第3番「インナーランドスケープ」
出演:インナーランドスケープvariations (多井智紀、大石将紀、石渡大介 他)
一柳 慧:ピアノ協奏曲第4番「ジャズ」(2台ピアノ版)
出演:中川俊郎、中川賢一
全席自由 前売/当日3000円(両公演とも)
※10/8・9公演は「横濱JAZZ PROMENADE 2016」当日のバッジをお持ちの方先着20人まで無料
(満席になり次第締切)
●酒井幸菜 「I’m here, still or yet.」
Photo
上:「掌の鍵」2015 ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館、イタリア から
photo: Sunhi Mang
下:「沈黙から」塩田千春展 2007 神奈川県民ホールギャラリー から
photo by Yasushi Nishimura
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