ドイツ・クライス社のオルガンで聴く 2017年のラインナップ
神奈川県民ホール
バッハからブラームスへ。
神奈川県民ホールのパイプオルガンは日本の公共ホールに初めて設置されたオルガンで、ドイツ・クライス社製の楽器です。小ホールの舞台上にあるため客席からオルガニストの演奏を間近で楽しむことができます。県民ホールでは開館当初から続く無料のプロムナード・コンサートや本格的なリサイタルなど、多彩なオルガンコンサートを開催しています。2017年度のコンサートについて県民ホールのオルガン・アドバイザー、荻野由美子さんにききました。
―オルガン・プロムナード・コンサートは2016年度に続きバッハのオルガン作品を中心としたプログラムを経験豊かな実力派オルガニストお二人がお贈りします。森武靖子さんは「オルガン小曲集」から、内海恵子さんは「コラールパルティータ」から選曲し演奏します。おなじみのオープンシアターではワンコイン(500円)で気軽にお楽しみいただけるオルガンコンサートを行います。午前は私が歌手の江原陽子さんと、午後は新進のオルガニスト、荒井牧子さんがサクソフォンの國末貞仁さんと共演します。
6月のリサイタルでは「ブラームスの旅」と題して、2017年が没後120年にあたるブラームスの遺作「11のコラール集」全曲を取り上げます。ブラームスはワーグナーに代表される新ドイツ主義最盛の時代にあって古典主義的な立場を貫き、ドイツの伝統を守り継ごうとしました。バッハに深く傾倒し、常に聖書を座右に置いていたブラームスが、心のよりどころであったクララ・シューマンを失い、自らも病を得た時期にコラール作品に取り組んだことは自然な流れだったのでしょう。1896年5月、クララの死の直後に作曲されたこのコラール集は、クララの霊に捧げられると同時に自らの死との対峙、旅路の終わりと永遠の命への想いが込められています。この作品を中心に、バッハとバッハの音楽を再興したメンデルスゾーン、メンデルスゾーンの盟友でありブラームスを世に送り出したシューマンの作品も取り上げます。生涯「旅の人」であったブラームスが追い求めた先人たちをさかのぼる旅は、ドイツ音楽史の1ページを辿る旅でもあります。先人たちが待つ天国へと旅立ったブラームスのオルガン音楽を皆さまにお楽しみいただければ、と思っています。リサイタルをさらにお楽しみいただけるよう、5月にはブラームスのオルガン音楽をテーマにした講座も行いますので、ぜひお越しください。
2017年 神奈川県民ホール 〈小ホール〉
●オルガン・プロムナード・コンサート
12:20~12:50(12:00開場)
入場無料 全席自由 当日先着順入場
5月28日(日)
①11:00 荻野由美子(オルガン) 江原陽子(歌)
②14:30 荒井牧子(オルガン) 國末貞仁(サックス)
演奏時間 約45分+オルガン見学 約15分
全席自由 500円 (小学生以下無料)
※①0歳から入場可/②小学生以上入場可
※各開演30分前より先着順現金払い
定員になり次第終了(各回400名)
6月10日(土) 15:00
全席指定 一般3000円 学生(24歳以下)2000円
[関連企画]
5月13日(土) 14:00 荻野由美子(お話)
全席指定1000円
6/10リサイタルと5/13講座のお得なセット券3500円
一般発売3/24(金) KAme先行3/18(土)
Photo(上から)
県民ホールのオルガン photo:東郷 洋
県民ホール オルガン・アドバイザーの荻野由美子さん © Y.Yagyu
同時代ウィーンの美術家、オットー・ベーラーの影絵 「天国に入るブラームス」。中央のオルガンにバッハ、左下にブラームスのほか、シューマンらの姿が見て取れる
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