一柳 慧プロデュース ユリシーズ弦楽四重奏団
神奈川県民ホール
ニューヨーク発、新進気鋭のカルテット日本コンサート・デビュー
日本を代表する作曲家・ピアニストである芸術総監督、一柳慧のプロデュースで、音楽の「現在」を捉えてきた本シリーズ。今年は、新進気鋭のユリシーズ弦楽四重奏団が登場します。
第12回バンフ国際弦楽四重奏コンクール(2016)セッション映像より
「まさに新時代のカルテット」と一柳が期待を寄せる彼らは、今や世界の弦楽四重奏団の中心地である北米で2015年結成。1年後にはアメリカの弦楽四重奏団の登竜門、フィショフ室内楽コンクールでグランプリと金メダルを同時受賞、カーネギーホールや欧州のステージでも喝采を浴び、注目の的となっています。世界最先端のニューヨークを拠点に、アメリカ、カナダ、台湾出身とグローバル時代に相応しい多彩なメンバーが、高感度のプログラムを二日間にわたって聴かせます。
初日は、オール・アメリカン・プログラム3作品。1980年生まれのスタークが厳冬の経験を表わした2016年作曲の「ウィンター・ミュージック」と、「嵐の後に訪れる静寂」とユリシーズ・メンバーが語る、バーバー「弦楽のためのアダージョ」の原曲「弦楽四重奏曲」第2楽章との、動と静が対になった2曲。もう1曲は、日本でも人気の高いライヒの「ディファレント・トレインズ」。ユダヤ人であるライヒが録音したナチスのホロコーストからの生存者の証言と、カルテットの緊張感ある演奏が交差する名作です。この「現在」という時代を意識させるプログラムにあわせて、奏者と聴衆が自由に意見交換する時間も用意されています。
二日目は、ユリシーズの実力をたっぷり聴き込める、古典から現代までの多様なプログラムが組まれました。C.ブーイ(Vn)が「幸福で美しいハ長調の世界」と語る、ベートーヴェン「弦楽五重奏曲」作品29では、元ロサンゼルス・フィル首席奏者で現在指揮者・ヴィオリストとして活躍する一柳の盟友、大山平一郎と共演します。若手の教育にも熱心な大山は、彼らを「現時点で考えられる世界最高水準」と絶賛。大山が指揮者として共演したことのあるブーイについて「稀にしか出会えない表現力と音楽性」と熱く語ります。また、一柳が最も信頼するピアニストの一人、飯野明日香と共演で、透明な叙情性に溢れるショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲」を。ほかに、一柳の弦楽四重奏曲第2番「インタースペース」第3楽章、スターク「ウィンター・ミュージック」も予定されています。一柳作品に彼らがどんなアプローチをするかにもぜひご注目を。
次代のスター・カルテットに出会える絶好の機会。どうぞお見逃しなく。
(文:川西真理)
一柳 慧プロデュース ユリシーズ弦楽四重奏団
アメイジング・ストリングス
神奈川県民ホール 〈小ホール〉
2017年6月11日(日) 15:00
出演:ユリシーズ弦楽四重奏団
スターク:ウィンター・ミュージック
バーバー:弦楽四重奏曲 Op.11より 第2楽章
ライヒ:ディファレント・トレインズ
全席指定1000円
2017年6月17日(土) 14:00
出演:ユリシーズ弦楽四重奏団 大山平一郎(ヴィオラ) 飯野明日香(ピアノ)
スターク:ウィンター・ミュージック
ベートーヴェン:弦楽五重奏曲 Op.29
一柳 慧:弦楽四重奏曲第2番 「インタースペース」より 第3楽章
ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57
全席指定 一般3000円 学生(24歳以下)2000円
2公演セット券3500円
Photo(上から)
ユリシーズ弦楽四重奏団(左からクリスティーナ・ブーイ、グレイス・ホー、コリン・ブルックス、ライアノン・バーナート)
クリスティーナ・ブーイ(第1ヴァイオリン)
ライアノン・バーナート(第2ヴァイオリン)
コリン・ブルックス(ヴィオラ)
グレイス・ホー(チェロ)
大山平一郎(ヴィオラ)
飯野明日香(ピアノ)
一柳 慧 (プロデュース) ©Koh Okabe
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