My Roots My Favorites 大塚直哉(チェンバロ、オルガン、クラヴィコード奏者)
次の世代の人たちが、
すてきな音楽に出会う場を
作ってあげられるようになりたい
今思うと、小学校の音楽会の中の「ヨーロッパのむかしの音楽より」というコーナーで上級生が演奏していたリコーダーの合奏とか、ビクター少年合唱隊(“隊員”だったのです。)で歌わせてもらった古い合唱曲など、古楽っていいな、と思うきっかけはずいぶんあったようです。また中学校の音楽の先生がスピネット*を持っていらして、弾かせてもらったのも大事な出会いでした。
「チェンバロをやる人は東京藝大の楽理科*に行く人が多いようだよ」といわれ、受験しました。楽理科で勉強したことは今でも宝物です。
大学の外で渡邊順生先生に、また大学院からは藝大のチェンバロ科で鈴木雅明先生に師事しました。お二人ともほぼ同じような時期にアムステルダムで勉強された方なのに、方法論がかなり違っていて、でも目指すところはほぼ同じでとても面白かったです。
また東京藝大バッハカンタータクラブというところで小林道夫先生に基礎の大切さをたたきこまれたことも大きなことでした。
フォルテピアノとチェンバロを組み合わせる渡邊先生、オルガンと組み合わせる鈴木先生、モダンピアノを組み合わせる小林先生といった師匠の姿に影響されて、自分もオルガンやクラヴィコードとチェンバロを組み合わせて活動しています。また指揮をするようになったのもこれらの先生方の影響でしょうか。オランダでお世話になったファン・アスペレン先生、ファン・オールトメルセン先生らの存在も大きく、本当に師匠に恵まれていると思います。自分もぜひ、次の世代の人たちがチェンバロやオルガンなど、むかしのすてきな音楽に出会う場を作ってあげられるようになりたいと思っています。(談)
*スピネット:小型のチェンバロ。
*楽理科:古代から現代までの様々な音楽を対象に、その歴史や構造、美学などについて学問的に扱う学科。
東京藝術大学大学院修了、アムステルダム音楽院チェンバロ科とオルガン科修了。チェンバロ、オルガン、クラヴィコードの奏者として活躍するほか、これらの楽器のワークショップを各地で行う。CD「ルイ・クープラン クラヴサン曲集」(ALM RECORDS)ほか録音多数。現在、東京藝術大学音楽学部准教授。NHK-FM「古楽の楽しみ」案内役として出演中。
Photo(上から)
©T. Kaneiwa
©E. Shinohara
「クラシック・ニュース」チェムバロ:大塚直哉 古楽を聴衆とともに楽しむ!
0コメント