想い出のステージ/Reader's Voice
想い出のステージ
白鳥の湖とフルコースと父の笑顔
初めてバレエの全幕物を観たのが40年ほど前の今頃の県民ホール。東京バレエ団の「白鳥の湖」だった。その頃の県民ホールはピカピカで、小学3年生だか、4年生だかの私は舞台の広さと座席の多さに圧倒され、ただうっとりと観ていた。それは父と二人のお出かけで、舞台を観る前に、今はなきサテライトホテルで、これまた初めてのフルコース料理を食べた。フルコースといっても、ロールパンとサラダとコーンスープとステーキとデザートのアイスが順番に出てくるだけのものだったが、外でナイフとフォークを使って物を食べる、それもホテルで! というこれまた初めての経験に背筋を伸ばして一生懸命食べたこと、お腹いっぱいだったけど、嬉しくて全部食べたこと、そして、そんな私をニコニコしながらみている父の姿、を強烈に覚えている。
というわけで、私の中での初めての「白鳥の湖」はフルコース料理と父の笑顔がセットになっている、すばらしい作品なのです。(菜の花)
DATA
チャイコフスキー記念 東京バレエ団 バレエ「白鳥の湖」
1976年7月17日(土) 神奈川県民ホール 〈大ホール〉
出演:升田道子 北原秀晃 夏山周久 他 指揮:堤 俊作 管弦楽:東京交響楽団
Reader’s Voice
「神奈川芸術プレス」は県民ホールや音楽堂、最近ではKAATの公演に行くたびに手にとって休憩時間などに読んでいます。最近は連載マンガ「劇場の達人」も始まって、ポップな楽しさが増しました。毎回達人さんにたしなめられるカナちゃんの失敗談は私の鑑賞体験「あるある」そのままでかわいい妹?のようです。これからどんな失敗が出てくるカナ? 応援しています。(カナちゃんの姉)
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