かながわ芸能歳時記 「子ども木遣り」

子どもたちが歌い継ぐ漁師町の伝統

子ども木遣り

(小田原市浜町/山王神社/5月)

揃いの祭り装束での子ども木遣りの奉納


 子ども木遣りは、毎年5月4、5日に小田原の山王神社の例大祭で奉納されます。ねじり鉢巻、襷がけの揃いの祭り装束で、地元の小学生たちが木遣りを歌うのです。

 木遣りとは、元々は仕事唄の一つで、大木などを曳く時に息を合わせるための掛け声が始まりだとされ、それが時代の流れと共に唄へと変化したといわれています。小田原の木遣りは浜木遣りといわれる特殊なもので、漁師たちが漁の時に歌ったものです。

 小田原では多くの祭りで神輿の巡行時に担ぎ手が浜木遣りを歌います。中でも浜町の山王神社の「山王原大漁木遣唄」は、市の無形民俗文化財に指定されており、漁業に従事するときの仕事唄であると同時に婚礼や祭礼などの儀式唄を兼ねるもので、全国でも非常に珍しい例です。それを子どもたちが歌い継いでいるのは、さらに希少かつ貴重な伝統なのです。


住所:神奈川県小田原市浜町4-30-15 山王神社

交通:「小田原」駅下車 徒歩15分

日時:2018年5月4、5日

お問合せ:小田原市文化財課 (0465-33-1717)


●同時期(4月)開催のその他の祭り

鶴見の田祭り(横浜市鶴見区/鶴見神社/4月29日)

五所宮囃子(足柄上郡中井町/五所八幡宮/4月29日


監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬

協力:小田原市山王原大漁木遣唄保存会、小田原市

写真提供:小田原市山王原大漁木遣唄保存会

神輿巡幸と大漁旗

勇壮な浜降り祭

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