知れば、知るほど、好きになる「オーケストラ」、「オーボエ」
音楽の小箱
オーケストラ
クラシック音楽の雄、オーケストラ。弦・管・打楽器群が半円形に並んで演奏する光景は、なんとも壮観です。
オーケストラの語源「オルケストラ」は、古代ギリシアで舞台と客席の間で合唱隊が歌い踊った場所のこと。17世紀のイタリアで、ギリシア悲劇を復活しようとオペラが誕生しますが、「オルケストラ」は歌劇場で歌の伴奏をする楽器奏者を指すようになりました。オペラはオーケストラのゆりかごです。モンテヴェルディのオペラ「オルフェオ」(1607年初演)の器楽合奏はオーケストラへの出発点となり、オペラの序曲「シンフォニア」は交響曲の原型になりました。
18世紀末までにオーケストラは、弦楽合奏にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペットの各管楽器2本にティンパニが加わる「2管編成」という編成が整えられていきます。弦楽合奏は、2部に分かれるヴァイオリンと、ヴィオラ、チェロ、コントラバスから成る「弦楽五部」という今日まで同じ楽器編成です*。しかし管楽器では、ベートーヴェンが2管編成にトロンボーンを加えたのをはじめ、19世紀を通じて作曲家たちは管楽器の種類を増やしたり、3管や4管に増強するなど次々と創意を凝らしていきました。20世紀にはさまざまな打楽器や、時には電気楽器も加えられるなど、編成はさらに巨大化していきます。しかしその一方で、小編成の室内オーケストラのための音楽も数多く作曲され、また、一度は廃れた古楽器を復活させた古楽オーケストラも結成され、盛んに活動するようになりました。
多種多様なオーケストラが欧米を越えた世界中で演奏会を開く現代。まさにオーケストラの黄金期といえるのではないでしょうか。
*弦楽器の数は管楽器の編成規模に準じて増減する
写真提供:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
楽器ミュージアム
オーボエ
オーケストラの演奏会では、指揮者が登場する前に必ず全楽器が音高を合わすためのチューニングを行います。この時、最初に基準の「ラ」の音を出すのが、オーボエです。
黒い木管の本体に銀色に光る金属製のメカニックで複雑な構造のキーを持ち、先端に挿し込んだリードに息を吹き込んで音を出します。リードとは乾燥させた葦の茎を薄く削ったもので、オーボエでは2枚のリードを向い合わせて使います。2枚のリードとも微妙にカーブしているため両端を合わせると中央に小さなすき間ができるのですが、ここに息を通すとリードが細かく震えて音が発生するのです。
オーボエは17世紀半ばのフランスで誕生しました。当時はキーが2、3個しかない簡単なものでしたが、2オクターブもの音域をカバーし音量も豊かだったため、瞬く間に欧州各国に広まりました。その後、キーを追加するなどの改良が施され、19世紀末には現代のオーボエの主流となるタイプが開発されました。現在の標準的なモデルでは28個の孔と、16個の孔を開閉するためのキーがあり、約3オクターブの音域があります。
オーボエ本体の中はとても細く上側の内径は4mm程度(下のベルに向けて少し広がる)。また息を吹き込む穴が狭いため、少しずつしか息を入れられず、音を出すことがとても難しい楽器です。しかしその反面、長い旋律をひと息で吹くことができ、またオーボエならではの豊かな音量で音楽の輪郭を鮮やかに描き出します。息の加減で陰影のある甘美な音色から金管楽器のような鋭い響きまで吹き分けられるので、オーケストラのなかでもとりわけ歌心のある楽器といわれています。
全長は60cmで、上から上管・下管・ベルの3つの部分に分解できる
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