かながわ芸能歳時記 「菅の獅子舞」

土俵上で奉納される獅子舞

菅(すげ)の獅子舞

(川崎市多摩区/子の神社・菅薬師堂/9月)


雄獅子は、雌獅子を臼獅子と奪い合う(菅薬師堂境内の土俵)

* 菅の佐保田家に伝わる古文書「薬師堂縁起」より。


 菅の獅子舞は、毎年、薬師如来様の命日である9月12日に近い日曜日に、薬師堂境内の土俵で五穀豊穣や疫病退散を願い奉納されます。文治3年(1187)にこの地の領主であった稲毛三郎重成が薬師堂を建立した時、子どもたちが獅子たわむれの舞いを舞ったのが初めてと伝えられており*、県の指定無形民俗文化財に指定されています。

 先導役に天狗が一人おり、雄獅子、雌獅子、臼獅子の獅子たちが一人立三頭形式で胸につけた太鼓を打ちながら舞い、これに笛とほら貝と唄がつきます。

 祭りの当日、舞手たちは法泉寺から薬師堂まで道行します。白足袋にわらじ履きという旅支度で、舞の筋書きや唄の中にも旅の道中であることを示す部分があり、「旅獅子」とも呼ばれています。獅子と天狗が腰にさす5色の幣は、安産のお守りとして大変人気があります。


住所:神奈川県川崎市多摩区菅北浦4-16-2 菅薬師堂

交通:JR南武線「稲田堤」駅下車 徒歩10分

   京王相模原線「京王稲田堤」駅下車 徒歩10分

日時:2018年 前日9月8日(土)16時~子の神社/当日9月9日(日)13時~菅薬師堂

お問合せ:川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課 044-200-3305


●同時期(8、9月)開催のその他の祭り

遠藤のささら踊り(藤沢市遠藤/寶泉寺/8月16日)

双盤念仏(大和市上和田/薬王院/9月7日、8日)


監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬

協力:菅獅子舞保存会

写真提供:川崎市教育委員会事務局生涯学習部文化財課


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