KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 「華氏451度」

KAAT神奈川芸術劇場

書物が禁止された近未来が訪れたら、あなたはどう生きていきますか?

 この秋、KAAT神奈川芸術劇場では、読書や書物の所持すら禁じられた近未来の超管理社会を舞台に、現代社会を鋭く風刺したアメリカの作家レイ・ブラッドベリの傑作小説が舞台化されます。1966年には、フランソワ・トリュフォー監督が映画化し、話題となった作品。今回は、演劇界の旗手・長塚圭史が上演台本を、白井晃KAAT芸術監督が演出を手がけます。

 隠されていた本が発見された場合、”ファイアマン“によって没収され、焼却されるばかりか、所有者は逮捕されてしまう近未来。ファイアマンの仕事に誇りを持ち、模範的隊員だったガイ・モンターグは、クラリスという女性と出会ったのをきっかけに、それまでの自分たちの所業に疑問を抱き、仕事現場から隠れて本を持ち出すようになります。本を読むにつれて徐々に自身を取り巻く社会への疑問が膨らみ、いつしか追われる身となり| 。

 演出の白井は「この作品の題材になっている”焚書“には、ナチスをはじめとする国家体制を維持するための思想弾圧のイメージがついて回ります。でも私は、この物語をそのように描いてはいけないと思っています。人類が自ら考えることを放棄する中、主人公のモンターグは、これでいいのか? 俺たちは、今、どこに立っているんだ? という疑問を持ちます。一人の作家が血みどろになるほど格闘し、何万語を費やして著した書物には、それだけの深さと過去の叡智が詰まっています。これは、そのことを改めて認識し、体験し、個を確立していく自己回復の物語です」。

 主人公のガイ・モンターグ役を吉沢悠、モンターグの妻と彼に影響を及ぼすクラリスの二役を美波、彼を追い詰める上司役に吹越満、と実力派俳優たちがどんな演技を見せてくれるのか見逃せません。ぜひご期待ください。


KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
「華氏451度」

2018年9月28日(金) 〜10月14日(日)  

KAAT神奈川芸術劇場 〈ホール〉

原作:レイ・ブラッドベリ 

上演台本:長塚圭史

演出:白井 晃 

音楽:種子田 郷

出演:吉沢 悠 美波 堀部圭亮 粟野史浩 土井ケイト 草村礼子 吹越 満 

全席指定 S 7000円 A 5000円 

U24 3500円 高校生以下1000円 シルバー6500円


Photo(1枚目)

上段左より吉沢 悠、美波、堀部圭亮、吹越 満。下段左より粟野史浩、土井ケイト、草村礼子、白井 晃


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