My Roots My Favorites 美波 (女優)
さまざまな人と出会い、挑戦をして、
自分ならではの人生を送る
昔父とフランス映画を見るのが好きで、7歳の時に「いつかこの中に入りたい」という気持ちが芽生えたのを覚えています。それがきっかけで児童劇団に入り、日本語の上達のために日仏学校から日本の学校に編入しました。ある日、エキストラとして観客席に座っていたところを芸能事務所の方に声を掛けられ、本格的に役者の道を歩むことになりました。
演劇は演出家、スタッフ、役者、すべての力が結集された総合芸術。私は何よりも光のある空間芸術が好きで、そこに立てることに幸せを感じます。そこに立つ役者には、自身の芝居一つで編集やクローズアップをする映画監督のような視点を持つことも必要だと思っています。その責任を果たし、お客さんの呼吸や、相手役とのやりとりによって日々変化していくのが舞台の魅力。精神的、体力的にタフでなければならず、人間として学ぶことも多いです。
今はパリと日本を拠点に活動していますが、パリに初めて訪れたのは18歳の時。「ここは自分と同じリズムだ」と感じるくらい自分らしくいられる場所です。フランスと日本の両国に住み、たくさんの人に出会い、さまざまな経験ができたことは幸せです。初めて会う人でもその人に歴史があることを知ります。みんな意外と脆くて、優しくて、チャーミング。人や外の世界に興味を持つことで世界は広がります。枠を壊し、どんどん挑戦していくことを糧に、自分にしか送ることのできない人生を歩みたいです。
バーチャルな世界は悲しいものです。本人の足と心で“生のもの”を感じることは素晴らしく思います。そこには自身にしか体験できない出会いがあり、発想があるからです。それは演劇も同じです。
(聞き手・文:今井浩一)
2000年、深作欣二監督「バトル・ロワイヤル」で映画デビュー。以降、映画やテレビドラマ、舞台などで活躍。2015年に文化庁新進芸術家研修でパリのジャック・ルコック国際演劇学校に1年間在籍。現在は日本とフランスを拠点にワールドワイドに活動している。今年上映された映画「vision」(河瀬直美監督)では主演のジュリエット・ビノシュのアシスタント兼通訳役で出演している。
*9月28日(金)〜10月14日(日)KAAT神奈川芸術劇場 白井晃演出「華氏451度」に出演
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