平成最後の年の瀬に、心の奥行きを広げてくれる 極上のステージをプレゼント

神奈川県民ホール

神奈川県立音楽堂

平成最後の年の瀬は思い出深く過ごしたい。そんな思いをかなえてくれる12月の5公演をご紹介します。

 まずは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団がソリスト、合唱とともに喜びの音楽を奏でる2公演から。

 救世主の降誕と受難、その復活と永遠の生命を賛える「メサイア」は、劇的な躍動感と崇高な輝かしさを放つヘンデルの最高傑作。神奈川県立音楽堂では「クリスマス音楽会」として半世紀以上にわたり毎年公演を重ねてきました。今年の音楽堂は改修中ですが、この伝統を中断せず相模原のグリーンホールに会場を移して開催します(12月8日)。指揮は、数々の「メサイア」公演を成功に導いてきた小泉ひろし。ソリストには第一線で活躍中の実力者が揃います。合唱は、神奈川県合唱連盟とともに県内の五つの高校が参加。総勢150人超の大合唱が歌い交わす「ハレルヤ・コーラス」の圧巻の響きは必見必聴です。

 年末の風物詩、ベートーヴェンの「第九」は、人気と実力を兼ね備える名匠、広上淳一の指揮で(21日神奈川県民ホール)。吉田浩之(テノール)ら強力なソリスト陣にも期待が高まります。ところで、年末の「第九」は、今から100年前、第一次世界大戦終結と独革命勃発という激動の1918年の大晦日に、ライプツィヒで「平和と自由」を願い演奏したのが始まりなのだそう。国を越え、時代を越えて歓喜の合唱に託してきた人々の思いと共振しあう感動を。

 クリスマス直前の日曜日の午後は、県民ホールで大人気の「オルガン・クリスマスコンサート」を(23日)。県民ホール小ホールに設置されたオルガンは客席との距離がとても近く、演奏者と客席が一体となった親密な空間でオルガンの響きに包まれる格別の体験を楽しめます。しかも今年は、世界最高峰のシャルトル国際オルガンコンクールの覇者で、フランスを拠点に国際的に活躍するエルワン・ル・プラドと青木早希の名手二人の共演が決まりました。オルガンソロはもちろん、四手、四足の連弾も交えた華やかな音楽で彩るスペシャル・コンサート。味わい深いノエル(クリスマス・キャロル)と舞曲、そして色彩豊かなフランスの作曲家たちのオルガン作品に加え、バルトークとリゲティのピアノ、チェンバロのための作品など、多彩なプログラムが魅力的なクリスマスコンサートです。

 クリスマス当日は、150年の歴史を誇る伝統と格式の名門キエフ・バレエでクラシックバレエ不朽の名作「白鳥の湖」を。オデット姫(黒鳥オディールとの一人二役)にカテリーナ・カザチェンコ、ジークフリート王子にはヤン・ヴァーニャが出演。長身と長い手足を活かした同団のスターならではの美しいスタイルと抜群のテクニックに、バレエファンならずとも心ときめくこと必至です。

 年末の白眉は、「ファンタスティック・ガラコンサート」(29日)。今年は日仏交流160周年にちなんで、フランスをテーマにした粋で優雅なプログラムが楽しめそうです。本公演の顔というべき指揮の松尾葉子、バリトンの宮本益光、東京バレエ団の上野水香が今年も勢ぞろい、また東京バレエ団プリンシパルの柄本弾も出演します。今回ぜひ注目していただきたいのが、期待の新鋭たち。本誌前号でガラ出演への意欲を語ってくれた、日本オペラ界を背負って立つ美声と美貌のソプラノ嘉目真木子、抜群の歌唱力と舞台姿で躍進中のテノール澤原行正、そして2000年生まれの超新星、ピアノの吉見友貴です。吉見は昨年、高校2年生で日本音楽コンクールに優勝、10代とは思えない大器ぶりが話題の的となっています。また、神奈川フィルの個性派コンサートマスター 石田泰尚が演奏するピアソラも必聴です。

 以前、本誌で上野水香が「あのガラ公演をやらなければ年は越せません」と語ってくれましたが、各界のスターたちが心を込めて演ずる最高の舞台が、皆さまの来場を待っています。   

 文:川西真理


相模原スペシャルコンサート2018

第53回クリスマス音楽会 ヘンデル 「メサイア」全曲演奏会

2018年12月8日(土) 13:30 相模女子大学グリーンホール

出演:小泉ひろし(指揮)

   山口清子(ソプラノ) 彌勒忠史(カウンターテナー) 

   中嶋克彦(テノール) 青山 貴(バリトン)

   長久真実子(チェンバロ) 宇内千晴(オルガン) 

   神奈川フィルハーモニー管弦楽団

   神奈川県合唱連盟

   音楽堂「メサイア」未来プロジェクト合唱団

   (神奈川県立光陵高等学校、県立相模原中等教育学校、 

   県立逗子高等学校、県立多摩高等学校、法政大学第二

   高等学校 各合唱部)

   志澤 彰(合唱指揮)

全席指定 1500円 車椅子席1500円(付添1名無料)


神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会

県民ホール名曲シリーズ第2回 「第九」

2018年12月21日(金) 19:00 神奈川県民ホール 〈大ホール〉

出演:広上淳一(指揮) 

   髙橋絵理(ソプラノ) 平山莉奈(メゾソプラノ) 

   吉田浩之(テノール) 浅井隆仁(バリトン)

   神奈川フィル合唱団(合唱)

全席指定 S 7000円 A 5500円 B 4000円

シニア(1949年3月31日以前生まれの方)各席種10%引

ユース(25歳以下)当日に限り全席種1000円


エルワン・ル・プラド&青木早希

オルガン・クリスマスコンサート

2018年12月23日(日・祝)15:00 神奈川県民ホール 〈小ホール〉

出演:エルワン・ル・プラド(オルガン)  青木早希(オルガン)

全席指定 一般3500円 ペア(一般2枚)6500円

学生(24歳以下・枚数限定)2000円


キエフ・バレエ 「白鳥の湖」

2018年12月25日(火) 15:00 神奈川県民ホール 〈大ホール〉

出演:カテリーナ・カザチェンコ ヤン・ヴァーニャ

   キエフ・バレエ

   ミコラ・ジャジューラ(指揮) 

   ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

全席指定 S 14000円 A 12000円 B 10000円

C 8000円 D 6000円


神奈川県民ホール 年末年越しスペシャル

ファンタスティック・ガラコンサート 2018

2018年12月29日(土) 15:00 神奈川県民ホール 〈大ホール〉

[オーケストラ]

ムソルグスキー(ラヴェル編曲):「展覧会の絵」より

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番より 第1楽章 他

[オペラ]

ビゼー:「カルメン」より 花の歌

グノー:「ファウスト」より 故郷を離れる前に 他

[バレエ]

「白鳥の湖」より アダージョ/ドリーブ組曲

出演:松尾葉子(指揮) 宮本益光(司会・バリトン)

  嘉目真木子(ソプラノ) 澤原行正(テノール)

  石田泰尚(ヴァイオリン/コンサートマスター)

  吉見友貴(ピアノ)

  上野水香(バレエ) 柄本 弾(バレエ)

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

全席指定 S 7000円 Sペア 13000円 A 5000円

B 4000円 C 3000円 学生(24歳以下・枚数限定)2000円


Photo(上から)

県民ホール小ホール

小泉ひろし

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 「第九」

エルワン・ル・プラド

青木早希

キエフバレエ 「白鳥の湖」

宮本益光 ⓒKiyonori Hasegawa

上野水香、柄本 弾 ⓒKiyonori Hasegawa

「ファンタスティック・ガラコンサート2016」より ⓒKiyonori Hasegawa


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