一柳 慧×白井 晃 神奈川芸術文化財団芸術監督プロジェクト Memory of Zero

神奈川県民ホール

滅亡の街と化した劇場空間で、ダンスの現在(いま)を映し出す

 神奈川芸術文化財団の芸術総監督で、作曲家・ピアニストの一柳慧。KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督で、演出家・俳優の白井晃。それぞれの分野の第一線で活躍する二人の芸術監督が、共同で新しい芸術表現を追及する「芸術監督プロジェクト」。初回は2016年9月にKAAT神奈川芸術劇場で、美術展示とのコラボレーションによるダンス・音楽プログラムを、第2弾は2017年1月に神奈川県立音楽堂で、一柳慧・音楽監督、白井晃・空間監修による演奏会を開催しました。3回目となる今回は神奈川県民ホールの大ホールで、ダンスパフォーマンスを上演。一柳慧が音楽を、白井晃が構成・演出を手掛けます。

「身体と記憶」をテーマに創る二つのダンスパフォーマンス

 一柳は1950年代のアメリカで、ジョン・ケージを通じて交流を深めたモダンダンスの草分け、カニングハムらと前衛的音楽活動を展開するなど、常に時代の最先端でダンスとのコラボレーションを試みてきました。白井もまた、1980年代からコンテンポラリーダンスに注目し、振付家とのクリエーションや”KAAT DANCE SERIES“のプログラミングに取り組んできました。その二人が、今回あらためて「ダンスとは何か?」「身体はどこへ向かうのか?」という問いに立ち返り、「身体と記憶」をテーマにしたダンス作品の創造に挑みます。

 第Ⅰ部は「身体の記憶」と題した作品。クラシックバレエからモダンバレエが生まれ、モダンダンス、そしてコンテンポラリーダンスの時代へ――。一柳の音楽とダンサーの身体が絡み合い、交錯し、ダンスの変遷を旅します。

 第Ⅱ部は、アメリカの作家ポール・オースターの小説「最後の物たちの国で」を基にした作品。主人公アンナ(小池ミモザ)が消息不明の兄を追い、行き着いたのは、何もかもが破滅へと向かい限りなくゼロに近づく世界。飢えや略奪、悪夢のように悲惨な出来事に次から次へと巻き込まれ、疲弊したアンナが、最後に見出す希望とは――? 滅亡の街と化した空虚な劇場空間に、一柳慧が東日本大震災を機に創作した大作「交響曲第8番 リヴェレーション2011」が響き始めます。

劇場空間をゼロから見つめなおすステージ・オン・ステージ

 神奈川県民ホールでは、1975年の開館以来、クラシックバレエからコンテンポラリーダンスまで、歴史に残る国際的名演が繰り広げられてきました。今回はその巨大な劇場空間をゼロから見つめなおし、舞台上に特設席を設置するステージ・オン・ステージの形式により、ダンサー、演奏家、観客が共に舞台に上がり、濃密に絡み合い、ダンスそして芸術の現在(いま)を映し出します。

世界を牽引するアーティストたちの刺激的なコラボレーション!

 一柳慧が音楽を、白井晃が構成・演出を担当。振付に迎えるのは、横浜バレエフェスティバルの芸術監督など振付家・ダンサーとして多彩な才能を発揮する遠藤康行。ダンスは、モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパルで圧倒的な存在感を放つ小池ミモザを中心に、国内外で活躍する個性豊かなダンサー陣が務め、オーディションで選ばれた精鋭が脇を固めます。音楽は、現代音楽のスペシャリスト集団で、一柳も厚い信頼を寄せる室内オーケストラ、板倉康明&東京シンフォニエッタが演奏します。世界のクリエーション現場の最前線に立つトップアーティストによる、斬新かつ刺激的なコラボレーションにご期待ください!


一柳 慧×白井 晃 神奈川芸術文化財団芸術監督プロジェクト

Memory of Zero メモリー・オブ・ゼロ

2019年3月9日(土) 18:00 ・10日(日) 15:00 神奈川県民ホール 〈大ホール〉

Ⅰ 身体の記憶 Memory of Body

Ⅱ 最後の物たちの国で In the Country of Last Things

原作:ポール・オースター 訳:柴田元幸

[演奏楽曲]一柳 慧:交響曲第8番 リヴェレーション2011 他

音楽:一柳 慧 構成・演出:白井 晃 振付:遠藤康行 指揮:板倉康明

ダンス:小池ミモザ 鳥居かほり 高岸直樹 引間文佳 遠藤康行 他

演奏:東京シンフォニエッタ

全席自由(整理番号付・特設席) 一般6500円 学生(24歳以下・枚数限定)3000円 ◎両日ともアフタートークを予定

※本公演では、舞台上の特設席を使用いたします。当日はチケットに記載の番号順にご入場いただきます。詳しくはホームページ等で発表いたします。


Photo(上から)

上段左から 板倉康明 ⓒSUNTORY FOUNDATION for ARTS/一柳 慧 ⓒKoh Okabe/白井 晃 ⓒ二石友希/遠藤康行 下段左から 引間文佳 ⓒ大洞博靖/小池ミモザ/鳥居かほり/高岸直樹

2018年11月、神奈川県民ホールで出演ダンサーオーディションを開催。130名を超える素晴らしいダンサーが集まり熱気あふれるパフォーマンスを繰り広げました。 


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