かながわ芸能歳時記 「鶴見の田祭り(横浜市鶴見区/鶴見神社/4月)」

第18回

豊作への願いを芸能に託して

鶴見の田祭り

(横浜市鶴見区/鶴見神社/4月)

子どもたちによる早乙女の早苗植え


 鶴見の田祭りは、鶴見神社で毎年4月29日(昭和の日)に、豊作と子孫繁栄を祈願して斎行されます。鎌倉時代以前から続く横浜最古の民俗芸能で、かつては正月 日に行われていました。近代化の波に曝(さら)され1872(明治5)年から100年余廃絶していましたが、貴重な伝統文化を復活させようと、鶴見神社の金子元重宮司や鶴見歴史の会、地元の有志による調査研究を経て1987(昭和62)年に再興されました。

 境内の舞台で悪霊退散の矢を放った後、田んぼに見立てた”ヤッサイ“を囲み、春の田起こしから、苗代掻き(なわしろかき)、種蒔き(たねまき)、田植え、草取り、鳥追い、秋の稲刈り、そして豊年祝いまで、米ができるまでの一連の農作業を神寿歌(かみほぎうた)に合わせて演じます。

 早乙女(さおとめ)や牛など子役も活躍し、道化の豊年祝の踊りもある楽しい祭りで、最後に紅白の祝餅がまかれ、駅前から巡行した万灯神輿も宮入し、歓声の中、祭りは終わります。


住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1-14-1(鶴見神社)

交通:JR京浜東北線「鶴見」駅下車 東口から徒歩5分

   京浜急行本線「京急鶴見」 駅下車 徒歩5分

日程:2019年4月29日 18:00頃より

お問合せ:鶴見田祭り保存会 045-501-4122


●同時期(4、5月)開催のその他の祭り

中井の鷺の舞(足柄上郡中井町/中井五所八幡宮/4月29日)

湯立獅子舞(箱根町仙石原/公時神社/5月5日)


監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬

協力:鶴見田祭り保存会

写真提供:鶴見田祭り保存会


蟇目の行事 悪魔払い

練れ練れ練れや神寿歌の始まり

ヤッサイを囲み田起こし

苗代掻き

田ならし

稲刈り

神馬豊年祝い

古式ゆかしく直会

紅白の祝餅まき

道化の踊り

⑪万灯神輿の宮入

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