開館65周年記念 音楽堂室内オペラ・プロジェクト バロック・オペラ ヘンデル「シッラ」全3幕 日本初演

神奈川県立音楽堂


ヘンデルの最も美しく謎につつまれたオペラ「シッラ」
ビオンディとエウローパ・ガランテが再び伝説の幕を開ける

 熱狂を生んだ2015年の音楽堂開館60周年記念「メッセニアの神託」から5年。ファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテによるオペラが音楽堂に帰ってきます。

 彼らが開館65周年を迎える音楽堂のために選んだのは、ヘンデルの〈ロンドン・オペラ〉の中でも、全編が美しい旋律に満ちているにもかかわらず上演にまつわる謎が多く、通の間でしか知られていなかったオペラ「シッラ」です。

 ビオンディとエウローパ・ガランテによる「シッラ」は、2017年に絶賛された、ウィーン・コンツェルトハウスにおけるコンサート形式上演の録音が日本でも発売されたばかりです。その主要キャスト(シッラ役:ソニア・プリナ、メテッラ役:スンヘ・イム、レピド役:ヴィヴィカ・ジュノー、フラヴィア役:ロベルタ・インヴェルニッツィ)をはじめ、この夏来日し、バーンスタインの「オン・ザ・タウン」で喝采を浴びたコントラルトのヒラリー・サマーズが、独裁者シッラに立ち向かう騎士クラウディオ役で再来日するなど、古楽界を中心に世界で活躍する実力派歌手が揃います。

 さらにこの公演では、「メッセニアの神託」でビオンディと強い信頼関係を結んだ演出・彌勒忠史と、日本が誇る気鋭のクリエーターが舞台版世界初演を担う、〈クールジャパン・プロダクション〉にも期待が高まります。これほど贅沢な布陣による上演が、音楽堂で2回限り。今シーズンの音楽界で話題をさらうことは間違いありません。どうぞお見逃しなく!

 「シッラ」は、古代ローマの独裁官で実在したルキウス・コルネリウス・スッラ(前138‐前78年)をモデルとした暴君・シッラの悪行と妻の愛による改心の物語ですが、展開が早く、突如訪れるどんでん返しも難解です。オペラ鑑賞の参考にあらすじをご紹介します。

 ローマの広場に凱旋した執政官シッラは妻のメテッラと護民官レピドに迎えられ祝辞を受けた後、ローマに独裁政治を宣言する。レピドの妻フラヴィアが現れ、「この国が怪物によって灰燼(かいじん)に帰す幻影を見た」とおののき、「稲妻が凱旋門を破壊する」と予言をする。シッラの副官カトゥルスの娘チェリアと騎士クラウディオは互いに愛し合っている。クラウディオは大胆にもシッラの独裁に異を唱え、チェリアは彼をかばおうとするが、シッラは怒り狂う。

 神殿に人々が加護を求め集まり、フラヴィアも祈っている。その美しさに欲望を覚えたシッラは彼女に言い寄るが、きっぱりと断られる。その後シッラが眠りにつくと、神が現れ、ローマを恐怖で支配するよう告げる。眠りから覚めたシッラはすぐに、神殿で祈りを捧げる人々を皆殺しにする。この残忍な行為をレピドに咎められたシッラは、自分は何でも好きなようにできると豪語したうえ、妻フラヴィアを自分に譲れと命じる。さらにシッラは、妻メテッラの目の前でチェリアに言い寄る。また再びフラヴィアを誘惑しようとするが、レピドに阻まれたため、二人を逮捕させ、クラウディオも投獄し、チェリアを監禁する。そしてメテッラの侍女スカブロにクラウディオとレピドの暗殺を命じるが、スカブロはメテッラに説得されシッラを欺く。

 その矢先、シッラはローマを離れてシチリアへの任務を与えられる。出発前にもう一度チェリアを誘惑し、フラヴィアにも言い寄るが、またも拒絶される。シッラは出帆するが、船は激しい嵐で沈没してしまい、メテッラが救出に向かう……!

 オペラ公演に先立ち、「シッラ」をはじめヘンデルのオペラを題材としたレクチャーコンサートやマスタークラス、舞台美術ワークショップ等を予定、本公演当日にはビオンディによるプレトークを両日ともに開催します(詳細は決まり次第HP等で発表)。ヘンデルのオペラ「シッラ」の世界を存分にお楽しみください。


開館65周年記念 音楽堂室内オペラ・プロジェクト
バロック・オペラ ヘンデル 「シッラ」 全3幕

日本初演(イタリア語上演/日本語字幕付)

2020年2月29日(土) ・ 3月1日(日) 14:00 神奈川県立音楽堂

*13:15~ ビオンディによるプレトーク

音楽:G. F. ヘンデル 台本:ジャコモ・ロッシ

音楽監督:ファビオ・ビオンディ(指揮・ヴァイオリン)

管弦楽:エウローパ・ガランテ 

演出:彌勒忠史

美術:tamako☆ 衣裳:友好まり子 照明:稲葉直人(ASG)

台本・字幕翻訳:本谷麻子 舞台監督:大澤 裕(ザ・スタッフ)

シッラ:ソニア・プリナ(コントラルト) 

クラウディオ:ヒラリー・サマーズ(コントラルト)

メテッラ:スンヘ・イム(ソプラノ)

レピド:ヴィヴィカ・ジュノー(メゾ・ソプラノ)

フラヴィア:ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ)

チェリア:マリア・イノホサ・モンテネグロ(ソプラノ)

神:ミヒャエル・ボルス(バリトン)

全席指定 S15000円 A12000円 B10000円 

学生(24歳以下)8000円

*未就学児入場不可 託児サービスあり 

*開場開演前 無料シャトルバスあり


Photo(上から)

エウローパ・ガランテ

ファビオ・ビオンディ(音楽監督)

「シッラ」 2017年ウィーン・コンツェルトハウス公演・ライヴ録音風景(東京エムプラス/GLOSSA) ⓒBernhard Trebuch

ソニア・プリナ

彌勒忠史(演出)

スンヘ・イム

ヒラリー・サマーズ

ロベルタ・インヴェルニッツィ ⓒRibaltaluce Studio

ヴィヴィカ・ジュノー

ミヒャエル・ボルス

マリア・イノホサ・モンテネグロ

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