かながわ芸能歳時記 三増の獅子舞
門外不出だった「一人立ち三頭獅子舞」
三増(みませ)の獅子舞
(愛甲郡愛川町/諏訪神社境内社 八坂神社/7月)
三増の獅子舞は、愛川町三増諏訪神社境内社の八坂神社の祭礼(通称お天王様) で、毎年7月に、雨乞いと五穀豊穣を願い奉納されます。少なくとも300年にわたる歴史があるといわれ、県の無形民俗文化財に指定されています。
祭りの当日、舞手たちは当屋(あたりや*)(=獅子宿)* から天狗を先頭に、日月の旗、バンバ*、獅子、笛師、花笠(ササラ*)、歌師の順に、笛師が奏でる「道行の渡り拍子」にあわせ総勢約30名で神社まで行進します。
忌竹(いみだけ*)を巡らせた神社境内の舞場の中で、三頭の親子の獅子が舞います。父は巻獅子、母は玉獅子、子は剣獅子。それぞれが違った形の獅子頭を付け、胴に着けた太鼓を叩きながら舞う「一人立ち三頭獅子舞」です。優雅な舞が展開されます。
かつては、神社から一町(約110メートル)四方の外に足を踏み出してはならない門外不出の舞でした。
*当屋: 現地での呼称による。元来頭屋(とうや)であったものが当屋となり、「あたりや」とよまれた。
*バンバ:老女の面を着けた舞手。
*ササラ:秋の稲穂が擦れ合う音を出す楽器。
*忌竹: 神事の時、不浄を防ぎ清める場所に立てる竹。葉のついた青竹にしめ縄を張り、紙垂(しで)を垂らす。
監修:神奈川県民俗芸能保存協会会長 石井一躬
協力:愛川町郷土資料館
写真提供:愛川町郷土資料館
住所:神奈川県愛川郡愛川町三増587番地 諏訪神社(雨天時は三増児童館にて実施)
交通:小田急線「本厚木」駅から神奈中バス「上三増」行き「三増」下車すぐ
日時:7月20日前後の日曜日 道行 14:30頃~ 演舞 15:00頃~
お問い合わせ:
愛川町郷土資料館 046-280-1050
三増の獅子舞
Photoキャプション(上から)
左から玉獅子、巻獅子、剣獅子
道行
天狗
日天・月天の旗
バンバ
ササラ
笛師
歌師
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