山本理顕の 街は舞台だ 横須賀美術館
建築を造ることで新たな環境を創っていく。
横須賀美術館
(設計:山本理顕)
多くの人は、建築は単体だと思っている。オブジェとして、デザインが良いか悪いか。あるいは施設として、役に立つか立たないか。建築が環境に対してどれだけ貢献しているか、という視点がない。 優れた建築には、周囲の環境そのものを際立たせ、魅力づける力がある。横須賀美術館は、三方を森に囲まれ、眼下に 海が広がる観音崎公園の中にある。しか し、公園全体が山や海と一体の環境として認識できるようになったのは、美術館ができてからだ。以前は公園から海が見えず、ただの山の上の森にすぎなかった。 ここは駅から遠く、便利な場所ではない。そこで滞在型美術館として構想した。 公園の森を散歩する。近くには観音崎灯台がある。夏には海水浴もできる。美術館も作品をみるだけの場所ではない。全 面ガラス張りのレストランから、浦賀水道を行き来する船を眺める。周囲の環境全体を堪能する。その拠点がこの美術館なのだ。訪れる人が単に観客ではなく、 主人公となる舞台を造る。建築を造ることで、新たな環境を創っていくのだ。(談)
住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
交通:京浜急行線「馬堀海岸」駅から京急バス「観音崎行/観音崎京急ホテル・横須賀美術館前」下車(約10分) 徒歩約2分 JR「横須賀」駅から京急バス「観音崎行/観音崎京急ホテル・横須賀美術館前」下車(約35分)徒歩約2分
企画・監修:山本理顕(建築家)
1945年生まれ。71年、東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。東京大学生産技術研究所原研究室生。 73年、株式会社山本理顕設計工場を設立。2007年、横浜国立大学大学院教授に就任(〜 11年)。11年、横浜国立大学大学院客員教授に就任(〜13年)。
Photoキャプション(上から)
まるで映画のワンシーンの中にいるような空間 ©大橋富夫
美術館前面は地元食材が評判のレストラン ©Sergio Pirrone
山本理顕 ポートレイト ©Jake Waltersm
海へとつながる美術館入り口 ©Sergio Pirrone
塩害に強いガラスで建物全体を覆った ©Sergio Pirrone
丸穴から自然光が入る ©Sergio Pirroke
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