廣江理枝オルガンリサイタル 聖なる歌、祈りの詩

神奈川県民ホール

日本を代表するオルガニストによる祈りの音楽

 パイプオルガン。首都圏の音楽ホールの多くに設置され、その生の響きを知る方も多いのではないでしょうか。今はホールで広く親しまれるオルガンですが、その歴史はキリスト教とともにありました。古くは13世紀頃から今日に至るまで、礼拝で神に祈りを捧げる歌、神を讃美する歌と、人間の声に近い音色とされていたオルガンによる音楽は、とても重要な役割を果たしてきたのです。

 神奈川県民ホールでの今秋のリサイタルを、廣江理枝は全曲「祈り」を軸に選曲しました。前半はホールに設置されたドイツ・クライス社製のオルガンの魅力を最大限に感じられる、バッハなどバロック時代の音楽を中心に「神から人間へ」のテーマをもった作品。後半はロマン派以降の、主に人間の苦しみ、哀しみを神に訴える祈りをテーマにしたオルガン作品です。

 オルガンという楽器はいつの時代も「喜び」「哀しみ」「嘆き」「憂い」「感謝」の祈りを、人々に寄り添って奏でてきました。敬虔な祈りを感じるコンサートになりそうです。

 廣江理枝はフランス・シャルトル国際コンクールで優勝後、ドイツを拠点に演奏活動を行い、日本に帰国した現在も世界中で活躍を続ける名オルガニストです。また、母校・東京藝術大学ではオルガン科の主任として後進の指導にあたり、多くの優秀なオルガニストを輩出しています。今回は同じ東京藝術大学の作曲科で教授を務める小鍛冶邦隆に委嘱した、バッハの「天にまします我らの父よ」BWV682に着想を得た新作初演も楽しみです。

 初秋の午後、ひととき日頃の喧騒を忘れ、オルガンが奏でる祈りの音楽に浸ってはいかがでしょうか。

©Hiroshi Togo


廣江理枝 オルガンリサイタル 聖なる歌、祈りの詩

2016年9月24日(土) 15:00 神奈川県民ホール 〈小ホール〉

ギラン:「第2旋法の組曲」より 1.前奏曲  2.ティエルス・アン・タイユ 4.バス・ド・トランペット

J.S.バッハ:コラール「天にまします我らの父よ」BWV682(クラヴィーア練習曲集第3部より)

小鍛冶邦隆:新作(神奈川県民ホール委嘱作品・初演)

J.S.バッハ:コラール・パルティータ「ようこそ、やさしきイエスよ」BWV768

トゥルヌミール:「過越のいけにえ」によるコラール即興曲

ボエルマン:『ゴシック組曲』Op.25より 「聖母マリアへの祈り」

リスト:バッハのカンタータ「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」とロ短調ミサ曲「十字架につけられ」の通奏低音による変奏曲

デュリュフレ :アランの名による前奏曲とフーガ Op.7

全席指定 一般3000円(ペア5500円) 学生(24歳以下)2000円

神奈川県民ホール詳細ページ 

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